EOS Kiss Digital + SIGMA 18-50mm F3.5-5.6 DC |
EOS Kiss Digitalです。Kiss Digitalの初代機になります。2003年製の逸品。いまのデジイチのように高感度の画質はよくありません。機能もしょぼいです。でもね,低感度,とくに基準感度ISO100の画質が良いのです。昨今の多画素のキヤノンAPS-CセンサーはRAWにおいて,ISO100で青空を撮影してもノイズが記録されてしまいます。これは,好ましくありません。また,EOS Digital初期のCMOSセンサーは低感度の発色がとても良いのです。とくに新緑の撮影をすると一目瞭然です。RAWの時点で色再現性がよいのです。DIGICII搭載機あたりから,高感度を強化するかわりに低感度の緑色のよさを失ってしまいます。
デジカメのセンサーの多くは,ベイヤー配列の素子を採用しています。これは何かというと,一言でいうとカラー撮影の仕組みです。画素そのものはフォトダイオードで入射光の強弱を電気信号に変換するだけで,色は認識できません。そこで,フォトダイオードの前に色のついた板をおき,その透過光を光電子変換にかけるわけです。格子状に配置された画素に対し,RGGBのカラーフィルタが配置されます。各画素は,R,G,Bの情報しか持たないので,隣の画素の情報を補間処理して,ほかの2つの原色の情報を得るわけです。この補間処理をデモザイクといいます。補間処理の中身は,特殊な加重平均です。平均化処理によって,ノイズ成分はなまされますが,同時に空間高周波成分がなまってしまうので,解像感が低下します。ノイズを減らしつつ,解像感を出すように各社,デモザイクのアルゴリズムに工夫を凝らしています。
ちょっと脱線しましたが,RGGBとかいたように,GがRやBの2倍あるんです。これはなぜかというと,人間の目は緑に対する感度が赤や青よりも敏感なんです。これは,猿から類人猿に進化する過程で,森を住処にしていたことに由来するといわれています。
DIGICIIから高感度画質が急激に良くなっていますが,CMOSセンサーの光電子変換効率を上げるだけでなく,カラーフィルタを薄くして,透過光を強くしたのではないかと疑われています。トータルバランスとして,こういうチューニングもアリなんでしょうが,低感度の緑色の発色を大切にしたい場合,好ましくないチューニングです。EOS Digitalの初期モデルで,この好ましくないチューニングを行っていないのは,1DsとD60,そしてこの初代Kiss Digitalといわれています。
というわけで,スペック的にはなんら魅力のなさそうな初代Kiss Digitalですが,マニアにとってはコレクターズアイテムということで,1台所有している次第。グリップのラバーは加水分解でペタペタになってしまったので,剥離処理を施した後に,合皮を両面テープで接着しています。また,この機種は上級機の10Dと差別化するためにファームウェアでリミッターがかかっていますが,ロシアンファームを導入して,リミッターを解除して使用しています。おかげで,応用撮影ゾーンでワンショットAFが使えます。というか,最初から使えるようにしておくべき。この制限は,後継機のKiss Digital Nにはありません。いっぱい,ユーザーから文句がでたんでしょう。
先の飼育日記に使った写真は,ISO3200,F5.6,1/25秒,ストロボなしと,当機には厳しい撮影条件でした。手振れ,被写体ぶれ,ノイズでボロボロと画質はもう,ひどいものです。最低限のケアとして,ノイズリダクションとシャープネスで調整はしてありますが,やっぱり,いまいち。
ISO3200,F5.6,1/25秒,ストロボなし |
やっぱり,ワイヤレスでストロボ発光させないとダメですね。手抜きしすぎ。次は真面目に撮影してみました。
ISO100,F18,1/200秒,ストロボあり |
ホワイトバランスを合わせ忘れましたが,違いは歴然ですね。メスのぷりっぷり感がしっかり撮影できています。オスも混じっているけどね。うーん,こいつらゴッキーそっくりだなぁ。
さて,1枚目の初代Kiss Digitalの雄姿を撮影した機材はこちら。
EOS D60 + SP AF90mm F/2.8 Di MACRO |
2台とも,普段は防湿庫で眠らせていますが,もったいない話ですよね。AFが弱いので,動き回る子供や屋内のノンストロボ撮影には不向きですが,イモリやコオロギ相手にストロボ撮影をする分には,十分に役不足です。ストロボがあれば,高感度も必要ないですし。イモリやコオロギ相手は,AFではなくMFが基本なので,本体のAF性能は関係ありません。しばらく,観察記録はこの2台でつけようと思います。
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